採用選考に応募する全ての人に就職の機会均等を保障し、応募者本人の適性や能力を選考の基準にすることは、事業主に求められている人権尊重の具体的な取組の一つです。事業主には社会の構成員として基本的人権を尊重し、社会的な責任を果たすことが求められます。
採用選考に当たっては、応募者本人の適性や能力を公正に評価することが必要であり、本籍・出身地、家族、生活環境等、応募者本人の責任によらないことや、思想・信条等、日本国憲法で保障されている個人の自由に関することを応募書類や面接等でたずねることは、就職差別につながるおそれがある上、職業安定法第5条の4に抵触する違法行為につながります。
学科試験、面接、小論文や作文等、応募者の適性や能力を判断するための方法は様々ですが、採用選考に当たっては、正しい手段、方法が必要であり、誰もが納得できるものでなければなりません。各事業主は、どのような適性や能力を持った人を採用したいかということから定めた基準に則して、採用選考を実施しています。
東京都産業労働局は東京労働局・ハローワークと共同で冊子『採用と人権(明るい職場を目指して)』を作成しています。そこでは、「一つの方法のみで選考する方法は、正確な評価に欠けるおそれがあるので、極力、総合的に評価する」ことや「新規学卒者は、成長過程にあるので、表面的な現象や過去の成績だけでなく、潜在的な能力や、採用後の教育訓練による可能性についても、積極的に見いだすように配慮する」ことを、事業主に対してお願いしています。
最近は、新規大学等卒業予定者に対して「エントリーシート」「ES」等の名称で、インターネットを利用して応募書類の提出を求める事業主が増えています。このような形式の応募書類を含めて、事業主は、応募者の適性と能力に関係のない事項(本籍地、家族等)や応募者の自由であるべき事項(思想、信条等)をたずねてはいけません。