【試用期間の意義】
採用時の試験・面接などだけでは、その労働者の職業能力や適応性を判断することは難しいため、使用者が新入社員の従業員としての適格性を判断するために、「試用期間」を設ける場合が多く見られます。試用期間中に特に問題がない場合には、そのまま正社員として本採用されますが、従業員としての適格性を欠く場合には、本採用を拒否される場合があります。
試用期間を設け、本採用を拒否する場合、就業規則に「一定期間を試用期間とする」旨の定めを明記するとともに、「社員として不適格と認めたときには本採用しない」と記載する必要があります。また、試用期間の長さ、労働条件、試用期間後の扱いについても明記する必要があります。期間が不当に長すぎる場合、公序良俗違反として無効になる場合もあります。また、試用期間の延長が許されるのは、就業規則などで明記され、なおかつ特段の事情がある場合に限られます。
【試用期間の法的性質】
試用期間中も、使用者と労働者の間には労働契約が成立しているとされますが、それは解約権留保付の労働契約と考えられております。したがって、本採用の拒否は、留保された解約権の行使ということになりますが、使用者による一方的な労働契約の解約であることから、解雇にあたります。そこで留保された解約権の行使も、「客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性」が必要となります。ですから、「性格がきつそうだ」「何となく気に入らない」などといった、使用者側の主観的な感情による解雇は認められません。もっとも、試用期間は採用についての最終的決定を留保したものであることから、本採用の拒否(留保解約権の行使)は、通常の解雇よりも広い範囲で解雇が認められます。
なお、本採用拒否は労働契約の解約、すなわち解雇にあたるため、通常の解雇時の手続をふまなければなりません。使用者が、労働者を解雇するには、原則として、少なくとも30日前に予告をするか、平均賃金の30日以上分の手当を支払わなければならないとされています(労働基準法第20条1項)。ただし、試用期間中で就業開始から14日以内の解雇であれば、この限りではありません(労働基準法第21条4号)。設問の場合は、3ヶ月の試用期間が経過後の解雇ですから、解雇予告が必要です。
【有期労働契約で採用して試用する場合】
新規採用にあたって、無期契約で採用して、当初の数ヶ月(2~3ヶ月が多い)を試用期間として設定することはよく行われています。他方、会社によっては、当初の契約を有期労働契約で締結して試用し、継続雇用に支障がなければ無期雇用で本採用することもあるようです。このような場合に、裁判例では、「使用者が労働者を新規に採用するに当たり、その雇用契約に期間を設けた場合において、その設けた趣旨・目的が労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは、右期間の満了により右雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が当事者間に成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き、右期間は契約の存続期間ではなく、試用期間であると解するのが相当である。」としているものがあります。試用期間となると解約権留保付労働契約ですから、その解約権の行使は、解約権留保の趣旨・目的に照らして、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当として是認される場合に許されるものであって、通常の雇用契約における解雇の場合よりもより広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべきであるが、試用期間付雇用契約が試用期間の満了により終了するためには、本採用の拒否すなわち留保解約権の行使が許される場合でなければならないと解されています。