【労働協約とは】
労働組合は組合員である労働者のために、労働条件の向上を求めて会社側と団体交渉を行う権限を持っています。団体交渉により労働組合と会社の意見が一致すると、その交渉で決まったことを誠実に守るために、その内容を労働協約として書面にします。
労働協約は原則として、その協約を締結した労働組合の組合員にのみ適用されることとなります。例外として、労働組合法は、労働協約が労働者の大部分に適用されるに至ったときには、組合員以外にもこれを拡張して適用するとしています。たとえば、労働組合法第17条は、ある工場事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の労働者が同一の労働協約の適用を受けるに至ったときには、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者にも当該協約が適用されるとしています。
労働協約は、賃金や労働時間などの労働条件だけでなく、人事や福利厚生、安全衛生に関すること、労働組合の活動に関すること、団体交渉を行う時の手続きやストライキを行うといった時のルールなど幅広く、労働者の待遇に関してその会社が会社の立場で決定できることが全て含まれます。
【労働協約の内容】
労働協約の内容に関して、何をどのようにするのかは、労働組合と会社の自由に任されています。就業規則に絶対的記載事項などの記載が義務付けられているのとは異なり、特に法律上の決まりはありません。ただし、労働基準法などの法律に違反するものや、公序良俗に反する内容であってはなりません。
労働組合法第16条では、労働協約で定められている労働条件やその他の労働者の待遇に関する基準(規範的部分)に反するような労働契約は無効とされ、無効となった部分は労働協約で定められた基準に引き上げられます。会社が、独自の立場で定めた就業規則の基準が労働協約よりも下回る場合には、その基準は労働協約の基準まで引き上げられることになります(労働基準法第92条・労働契約法第13条)。
労働協約には、上記の規範的部分以外の、団体交渉、争議開始のルール、使用者が認めた場合の就業時間中の組合活動の範囲、労働組合による会社施設の利用関係など、労働組合と使用者との間の約束に関する条項も少なくありません。これを債務的部分といいます。債務的部分は、これに反すれば債務を生じます(債務的効力)。
労働協約には有効期間を定めておくのが一般的です。労働協約の有効期間の上限は3年となります(同法15条)。有効期間中は労働協約で定めた事項の改変を求めて争議行為を行うことはしないという義務(平和義務)が生ずるため、この間は労使の安定が保たれるというメリットがあります。なお、期間の定めのない労働協約は一方当事者からの90日以上前の書面による予告によって解約することができます。