【労災保険とは】
労災保険とは、労働者が仕事をしていて怪我をしたり、病気にかかったり、死亡したりする労働災害、また、通勤の途中で事故に遭うなどの通勤災害などに対して、国が事業主に代わって必要な給付を行う保険です。これは、パートやアルバイトなどの雇用形態にかかわらず、労働者を1人でも雇用していれば加入することが義務となっています(労災保険法第3条)。
保険料は全額、事業主が負担します。事業主が加入を怠っている場合でも、労災保険から保険給付を受けることができます。
その負傷や疾病が労災にあたるかどうかについては、会社ではなく労働基準監督署長が判断することになっています。労災認定には、次に挙げる2つの要件が必要となります。
(1)業務遂行性 労働者が労働契約に基づいた事業主の支配下ないし管理下にある状態(作業中だけではなく、作業の準備行為・後始末行為、休憩時間中、出張中などの場合も「業務」とみなします)において発生した負傷・疾病・障害・死亡であること。
(2)業務起因性 業務と負傷・疾病・障害・死亡との間に一定の因果関係が存在すること。業務が原因で発症した疾病であるかどうかの判断は専門的な医学的知識を必要とすることが多いため、労基法施行規則の別表1の2において、医学的にみて業務に起因して発生する可能性が高い疾病を業務の種類ごとに類型的に列挙しています。
これらの要件をクリアして労災と認定されると受けられる補償には、[1]療養(補償)給付、[2]休業(補償)給付、[3]傷病(補償)年金、[4]障害(補償)年金・一時金、[5]介護(補償)給付、[6]二次健康診断等給付、[7]遺族(補償)年金・一時金、[8]葬祭料・葬祭給付といったものがあります。このうち、業務災害により負傷し、または疾病にかかった場合には療養補償給付が適用され、労災病院・労災指定病院での療養を給付されるか(現物給付)、上記以外の病院で療養した場合にかかった費用が給付されます(現金給付)。
労働災害による疾病の療養で休業する場合、働けなかった日数分の給料の約8割が支給されます。但し、働けなくなった日から4日目以降の休業が支給の対象で、最初の3日間の休業については、労災保険は適用されません(労災保険法第14条・労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条)。この3日分の休業補償については、事業主が、平均賃金の60%を被災労働者に対して支払う義務を負うことになります。
【通勤災害とは】
通勤災害とは、労働者が通勤途中で被った負傷、疾病、障害又は死亡をいいます。
通勤災害は、住居と就業場所との間を合理的な経路・方法によって往復した際に遭遇した場合に適用されます。労働者が通勤経路から逸脱・中断した場合に起こった災害は通勤災害とは認められません。ただし、逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって、やむを得ない理由(例えば、日用品の購入や病院・診療所で診療や治療を受ける場合など)で行う最小限のものである場合には、逸脱又は中断の部分を除き「通勤」となります。
【労災保険と健康保険】
なお、上記のように労働災害には、労災保険からの給付がなされるのに対し、労働者の業務外の事由による疾病、負傷、障害、死亡した場合などには、健康保険からの給付がなされることになっており、法の適用は場面ごとに異なる保険制度を予定しています。