チャレンジ!労働法~ミー猫とつばさのまなびネット|2コース - 問題1


- Q1 -

【派遣労働とは】
派遣労働とは、派遣労働者と労働契約を結んだ派遣元事業主が、労働者派遣契約を結んでいる派遣先にその労働者を派遣し、派遣労働者は派遣先の指揮命令に従って働くという働き方です。派遣先は労働者から労務の提供を受けた後に派遣元事業主に派遣料金を支払い、派遣元事業主は派遣労働者へ賃金を支払います。このように、派遣労働は、派遣労働者と派遣元事業主との労働契約関係、派遣元事業主と派遣先との労働者派遣契約関係、派遣労働者と派遣先との指揮命令関係から成り立っています。

【労働者派遣事業の許可制】
平成27年の労働者派遣法の改正により、すべての労働者派遣事業は厚生労働大臣の許可を受けなければならないとされました(労働者派遣法第5条第1項)。すべての労働者派遣事業を許可制のもとに置き、労働者派遣事業の規制を強化したのです。
 改正前は、労働者派遣事業は、一般労働者派遣事業(登録型)と特定労働者派遣事業(常用型)の2つに分けられていて、前者は許可制、後者は届け出制となっていましたが、現行法ではこの区分はなくなり、全ての労働者派遣事業は大臣の許可を受けなければなりません。労働者派遣事業を行おうとする者は、所定の事項を記載した事業計画書等を添付の上で、厚生労働大臣に申請書を提出しなければなりません(労働者派遣法第5条2項~4項)を厚生労働大臣に提出します。
 利用しようとしている派遣会社が、許可を受けているかどうかは、厚生労働省職業安定局の人材サービス総合サイトで検索できます。
https://jinzai.hellowork.mhlw.go.jp/JinzaiWeb/GICB101010.do?action=initDisp&screenId=GICB101010/

【派遣労働者の雇用の安定と福祉の増進のために】
派遣労働については、労働契約を結んだ使用者の指揮命令の下で働く直接雇用での働き方とは異なり、指揮命令をする会社(派遣先)と雇い主(派遣元事業主)とが別であるため、さまざまな問題が生じることがあります。そのため、派遣労働者の雇用の安定、福祉の増進を図るために「労働者派遣法」および「派遣元指針」「派遣先指針」を定めて、派遣元事業主と派遣先がそれぞれ講ずべき措置等を示しています。また、有期雇用派遣労働者が派遣先の同一の組織単位の業務に3年間従事した場合、派遣元事業主には、(1)派遣先に労働契約の申込みを求めること、(2)新たな就業機会の確保・提供、(3)派遣元事業主における無期雇用の機会の確保・提供、(4)教育訓練その他雇用の安定に必要な措置のいずれかをとることが義務付けられています(労働者派遣法第30条。なお、派遣先の同一組織単位での就業が1年以上3年未満の有期雇用派遣労働者については努力義務です)。もし、事業主がこの義務に違反した場合には、厚生労働大臣は、その事業主に対して、指導・助言・指示を行うことができ(労働者派遣法48条1項、3項)、事業主がこの指示にも違反する場合には、労働者派遣事業の許可を取り柄消すことができるとするなど(労働者派遣法第14条第1項4号)、有期雇用派遣労働者の雇用の安定を図っています。

【派遣労働と業務請負】
労働者派遣と類似したものに、業務請負というものがあります。業務請負は、請負業者が注文主と請負契約を結んで仕事を引き受け、請負業者が雇用する労働者に対して指揮命令を行います。このように、労働者派遣と業務請負の大きな違いは、労働者に対する指揮命令を誰が(どこが)出すかという点にあります。
近年、業務請負の形をとりながら、請負先が指揮命令を行う「偽装請負」が多く見られます。これは労働者派遣法上の各種の規制を免れるために、実態は労働者派遣であるにも関わらず、形式上は業務請負を装うもので大きな問題があります。派遣で働く場合には、契約内容をきちんと確認することが大切です。【2コース問20参照】

*労働者派遣制度について(参考)
労働者派遣制度は、専門的な知識や技術を必要とする業務や、特殊な雇用管理を必要とする業務分野が増加したことや、自らの希望する日時などにあわせて、専門的な知識、技術あるいは経験を活かして就業することを希望する方が増えたことなどに伴い、その変化に対応する労働力需給の調整システムとして、昭和60年に制定されました。労働者派遣法第2条第1号では、職業安定法第44条で禁止されている労働者供給事業のうち、派遣元事業主の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、派遣先の指揮命令を受けて、派遣先のために労働に従事させることを「労働者派遣」と定義しました。そして、適法に設置され、厚生労働大臣に許可を受けた派遣元事業主が、労働者派遣法を遵守して、労働者派遣先に労働者派遣を行う場合には、職業安定法第44条違反とはならないとしたのです。
その後、経済・産業構造の変化や価値観の多様化に伴う企業や労働者の多様な働き方に対するニーズに対応すべく、派遣対象業務を追加するなど、数次の改正を実施してきました。平成11年改正においては対象業務が原則自由化されましたし、平成15年改正ではそれまで禁止されていた「物の製造」(製造業)への派遣が解禁されました。平成24年改正では、日雇派遣の原則禁止、マージン率の公開、違法派遣の場合の派遣先による労働契約の申し込みみなし制度(労働者派遣法第40条の6,第40条の7)が定められました。
また、平成27年の改正では、上記で触れた派遣事業の届け出制の廃止と許可制への一本化、派遣先事業所単位と派遣労働者個人単位の派遣受入期間制限等が定められています。さらに、平成30年の働き方改革関連法により、不合理な待遇の禁止(派遣先均等・均衡方式、労使協定方式)、就業規則作成時の派遣労働者の過半数代表者への意見聴取努力義務、紛争解決の促進・援助制度等が定められました。厚生労働省ではこの労働者派遣制度が適正に運営されるよう、派遣労働者の方の就業環境の整備など、さまざまな対策を講じています。

○ 違法派遣について
厚生労働省としては適正な労働者派遣事業の運営を確保し、違法派遣によって派遣労働者が不利益を被ることがないよう、守らなければならないルールや配慮すべき事項を定め、行政としての指導監督の徹底に努めています。
また、平成25年4月1日より、下記の①から⑤に該当する派遣先等の違法派遣については、労働契約の申込みみなし制度が適用されます。労働契約の申込みみなし制度は、派遣先等により違法派遣が行われた時点で、派遣先等が派遣労働者に対して、その派遣労働者の雇用主(派遣元事業主等)との労働条件と同じ内容の労働契約を申し込んだとみなす制度です。派遣先等が労働契約の申込みをしたものとみなされた場合、みなされた日から1年以内に派遣労働者がこの申込みに対して承諾する旨の意思表示をすることにより、派遣労働者と派遣先等との間の労働契約が成立します
① 派遣労働者を禁止業務に従事させること
② 無許可事業主から労働者派遣の役務の提供を受けること
③ 事業所単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けること
④ 個人単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けること
⑤ いわゆる偽装請負等
(③についてはQ15、⑤についてはQ20もご覧下さい。)

○ 偽装請負について
違法派遣の中で、たびたび問題になるのがいわゆる偽装請負です。請負とは、発注者からの注文を受けて、請負事業主の責任においてその業務を完遂させるものであり、請け負った業務を完遂するために働く労働者は、請負事業主に雇用され、請負事業主の指揮命令をうけることになります。しかしながら、請け負った業務を完遂するに当たり、労働者が、請負事業主ではなく発注者から直接指揮命令を受けることになると、実態として労働者派遣に該当することとなり、請負の形態で労働者派遣を行っているとして偽装請負となります。

請負においては、本来、請負事業主が雇用主として労働者に対する安全衛生などの責任を負うこととなりますが、偽装請負については、請負事業主と発注者の間で雇用主、指揮命令者として責任分担があいまいになりやすく、その結果として危険防止措置等が十分に講じられず、労働者が事故にあってしまうなどの問題が発生することがあります。

なお、偽装請負に上記の違法派遣の労働契約の申込みみなし制度の適用は、派遣先が、労働者派遣法等の規定の適用を免れる目的で、請負やその他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、必要とされる事項を定めずに労働者派遣を受けた場合とされています。
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