【パートタイム労働者とは】
「パートタイム労働者」とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される「通常の労働者(フルタイムで働く労働者で、イメージとしては正社員です)」の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者のことをいいます(パートタイム労働法第2条。同法では「短時間労働者」という用語が使われていますが、ここではよりわかりやすい「パートタイム労働者」の用語を用います)。パートタイム労働者は、企業の雇用管理上は正社員と区別されて取り扱われることもありますが、法的には「労働者」として労働基準法など労働関係法規の適用を受けることになります(労働基準法上、労働者は「職業の種類を問わず、事業所又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」(労働基準法第9条)と定義されています)。さらに、一般的な労働関係法規に加えて、適正な労働条件の確保、教育訓練の実施、福利厚生の充実などを行うことでパートタイム労働者の能力を有効に発揮させることを目的とした「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(以下「パートタイム・有期雇用労働法」という。)も適用されます。
【労働契約を結ぶとき】
パートタイム労働者を雇い入れる場合、使用者(事業主)が労働条件を口頭でしか説明しないために、雇い入れ後にトラブルが発生することが少なくありません。労働契約それ自体は書面を作っていなくとも有効で、いったん結ばれた労働契約は、使用者(事業主)も労働者も守らなければなりません。そのため、どのような契約を結んだのかがしっかりと見える形にしておかないと、お互いの思い違いや、後になって言った・言わないといったトラブルの原因となる場合があります。こうしたトラブルを回避するため、使用者(事業主)は採用のときに次の事項について記載した書面を労働者に交付しなければならないことになっています。
労働基準法第15条、労働基準法施行規則第5条に基づき、(1)契約期間、(2)期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項、(3)仕事をする場所・仕事の内容、(4)始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替勤務をさせる場合の就業時転換に関する事項、(5)賃金の決定・計算・支払方法・締切・支払時期に関する事項、(6)解雇の事由を含む退職についての事項(以上(1)~(6)については、正社員もパートタイム労働者も共通の規制となっています)を明示しなければなりません。
さらに、パートタイム労働者、有期雇用労働者には、(7)昇給の有無、(8)退職手当の有無、(9)賞与の有無、(10)パートタイム労働者・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口を明示しなければなりません。
パートタイム労働者も、採用に際して、労働条件が記載された書面をもらうのを忘れないようにし、万が一トラブルになったときでも、大事な証拠となるように、しっかりと保存することが望ましいといえます。
なお、労働条件の明示方法は、書面の交付による方法のほか、労働者本人が希望しており、かつ紙に出力して書面を作成できる場合に限り、使用者は、ファクシミリや電子メール、SNSへの送信によって明示することができます。
労働者は使用者から交付された書面は、必ず保管しておきましょう。労働者が希望して、ファクシミリ、電子メール、SNSで労働条件通知書を受信した場合には、プリントアウトして保管してください。